英語文法 語順
2024.11.21
英語の語順にはなぜ従わなければいけないのか?
カジュアルな時は語順もテキトーでいいのではないか?
目次:
【前提】
英語学習ではまず、日本語と英語は違う、日本語で出来ることすべてが英語でできるわけではない、という認識を持つことが重要です。
なぜなら英語は日本語ほど洗練されておらず便利ではない言語だからです。
日本語が自動車だとしたら、英語はママチャリです。
「日本語では省略して言えるのに、なぜ英語では主語述語を明確にしないと言えないのか?」
という質問は、
「自動車はアクセルを踏めば100km 出るのに、なぜママチャリは漕がないと進まないし漕いでも30kmしか出ないのか?」という問いと同じです。
日本語と英語の共通点は、声帯と息と口周辺の動きから作る音を使って情報伝達をしているという点だけだ、と考えるぐらいでちょうどいいのです。
日本語話者で英語を学んでいる人は、英語を使う際に「自分が使い慣れている日本語という便利なツールよりも原始的で扱いにくいツールを使っている」という認識を持ち、「日本語でできることを英語で出来るようになる」ことを目指すのではなく、「英語という扱いづらいツールの使い方を新たに学ぶ」という意識が必要になります。
ママチャリと比較した自動車のように、日本語は学ぶのは大変ですが、使いこなせれば英語の何倍も便利に効率よくニュアンスも含め情報伝達が可能な言語なのです。
例えば、日本語は平仮名/カタカナ/漢字を使い、アルファベットも多用するため学ぶことがらは多岐にわたりますが、、学んでしまえば文章を読む時に情報にメリハリが付き読みやすい言語です。
英語はアルファベットしかないので、、これは日本語で言うとカタカナだけを使って書かれているものを読むようなものです。
さらに、日本語は発音がシンプルなので聞き間違いが発生しにくいですが、英語は発音の種類が多く、しかも連結や脱落などイレギュラーも多いため、話しにくく聞きにくい言語です。
この前提を踏まえた上で、語順とTPOについてみてみましょう。
【語順】
英語で基本語順のルールを守らなくてはいけない理由は、守らないとわけが分からなくなるからです。
あの子が 犬を 見つけた
犬を あの子が 見つけた
あの子が 見つけた 犬を
犬を 見つけた あの子が
上記の例は全て That kid found the dog と読めますが、同じことを英語ですると、
That kid found the dog あの子が犬を見つけた
The dog found that kid 犬があの子を見つけた
That kid the dog found 犬が見つけたあの子
The dog that kid found あの子が見つけた犬
という風に意味が全く変わってしまいます。
これは英語に助詞が無いせいです。
英語には主語と目的語を区別するための助詞が無いため、文章内の”枠”で判断するしかありません。
| The kid | found | the dog |
| 主語枠 | 動詞枠 | 目的語枠 |
犬を あの子が 見つけた
日本語では「が」がついているから「あの子」が主語だとわかり、「を」がついているから犬が目的語だとわかり、主語と目的語が助詞のおかげではっきりしているから順番を変えても意味が通ります。
助詞を省くと、以下のように、英語と同じくわけ分からなくなります。
あの子 犬 見つけた
犬 あの子 見つけた
あの子 見つけた 犬
犬 見つけた あの子
助詞があるから、主語や目的語を省略しても解釈の幅が狭められるので、文脈に合わせて解釈しやすくなります。
以下の例でも、下線部の助詞(終助詞)を無視すると意味の解釈の幅が広がってしまいます。
この時計見つけたよ、ついさっき、私がね。
→この時計が私をついさっき見つけた。とも解釈できる。
見つけたよ、この時計、ついさっき
→この時計が何かをついさっき見つけた。とも解釈できる。
そして助詞無しで語順を変えるとカタコト感が強くなります。
助詞が無いという英語の言語としての性質が、語順のルールを守って文章を構成することを日本語よりも重要なものとしています。
そのため、語順を変えることでカジュアルさを示すことはほぼありません。
あるとすれば、文脈の中で十分理解可能な場合、特に質問に答える時に、主語動詞を省略するぐらいです。
例:Where are you?→ At my office.
なお、倒置法を詩的な表現として使うことはあります。
例えば前置詞が付くものに関しては日本語の助詞のような機能があるので、日本語ほどではないですが動かしても意味が伝わります。
To the station, I should run. と語順を変えても伝わります。
また、Run, to the station, I should. とすると文脈によっては伝わりますが、最後まで聞かないと命令形に聞こえて誤解を招きます。
ちなみにこういった倒置法を使いまくるのがスターウォーズのヨーダの話し方です。
そもそも物語の作者は、ヨーダが異星人であることを強調するために、倒置法を多用した話し方をさせていたらしいのです。
語順が間違っていることが異星人並みの外国人として見られてしまうという良い一例です。
こういった話からも英語は文法に従った語順で話すことがMUSTであることが分かります。
【カジュアルさ(TPO)】
日本語はカジュアルさを出すために主語や目的語などを省略したり、終助詞(語尾)を変えることができます。
また、人称が多数あるので人称を使ったTPOの使い分けが可能です。
以下の例では日本語では明確な区別がありますが、英語では何も変わらないです。
あなたと私が行くべきです。= You and I should go
君と僕が行くべきだよ。= You and I should go
お前と俺が行くべきでしょ。= You and I should go
そちら様とわたくしが行くべきです。= You and I should go
お主とわしが行くべくじゃ。= You and I should go
日本語には人称多いので、非常に多くの組み合わせが考えられますし、ニュアンスをTPOに合わせられますが、英語ではその方法は使えません。
英語にはTPOに合わせるため主に3つの方法を使います。
音の省略、言葉の代替、言葉の追加、です。
音の省略、言葉の代替
I don’t wanna go. → 私は行きたくない。[音の省略でカジュアルに]
I do not want to go. → (強めに)私は行きたくない。[音を省略しないで強い意志を示す]
I would not like to go. → 私は行きたくありません。[want を代替することでフォーマルに]
言葉の代替、言葉の追加
He messed up. → 彼はやらかした。[砕けた言葉使用。カジュアル感。]
He failed. → 彼は失敗した。[砕けた言葉を代替して真面目感。]
Unfortunately, he failed. → 彼は失敗してしまった。[言葉の追加で「しまった」のニュアンス追加]
言葉の代替は日本語でもよく使いますし、音の省略も日本語でもあることはあります。
(「やらかし」→「失敗」とか、「お疲れ様です」→「お疲れっす」→「ウッス」とか。)
そして言葉の追加も日本語でも行います。
しかし、英語はTPOに合わせる時、音の省略と言葉の追加に、日本語よりも比重を置かざるを得ない言語です。
【まとめ】
英語と日本語は、文化、成り立ち、言語形態など、違うことだらけです。
その本質的に違うことを正しく認識し、「自分が感じていること、自分が伝えたいことを英語で伝える」を目指していかないと、「日本語で言いたいことを英語で言えない」という考えに囚われてしまいます。
英語を日本語の代替として考えるのではなく、英語を英語として学ぶことに日本語を補助として使う、ということをまずは理解できると、学習効率は向上します。
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